中西三春准教授の論文が 「International Journal of Geriatric Psychiatry」にオンライン公開されました。
世界的に人口の高齢化が進む中で、生活の質(QOL)を最大限に高めることがケアの重要な目的となります。高齢者はしばしば複数の疾患や症状を併発し、代表的なものにうつ症状、身体の痛み、認知機能の障害があげられます。これらはお互いにお互いのリスクを高めることが示唆されてきました。しかし3要因の順序関係を包括的に調べた研究は少なく、ケアでどの症状を優先すべきかは明らかではありませんでした。
本研究ではオランダのデータ・レポジトリTOPICS-MDSのデータを取得して、在宅高齢者における3時点での3要因の相互関係を解析をしました。
解析の結果、身体の痛みがあることは6か月後のうつ症状のリスクを高めていました。また身体の痛みは6か月後のQOLの低さとも有意な関連を示しました。高齢者のQOLを高めるケアにおいて、身体の痛みのアセスメントと対応が優先すべきポイントであることが示唆されます。
リンクより本論文の抄録がご覧いただけます。
Longitudinal associations between subjective cognitive impairment, pain and depressive symptoms in home-dwelling older adults: Modelling within-person effects
https://doi.org/10.1002/gps.6103