中西三春准教授らの論文が「Journal of Pain and Symptom Management」でオンライン公開されました。
認知症は記憶障害にとどまらず、意思決定能力が次第に損なわれていく点に特徴があります。そのため認知症が進行した段階になると、本人の価値観や意向に沿わない医療・ケアが行われる(あるいは意向に反して行われない)リスクがあります。そこで将来に備え、ご本人が家族や医療従事者と話し合い、価値観や選好を記録しておいて後で見直す「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」を行うことが重要とされています。
しかし日本やアメリカの先行研究で、ACPを行っている高齢者は行っていない者よりもうつ症状が重いことが示されています。ACPをすることでうつ症状が起こるのか、それとも病気が進行してうつ症状を併発した人がACPを行うのか、どちらの前後関係なのかは明らかではありませんでした。
本研究ではオランダの高齢者コホート研究(Longitudinal Ageing Study Amsterdam, LASA)を活用して、2015-16年・2018-19年・2021-22年の3時点のデータを解析し、認知機能・ACPの実施・うつ症状の前後関係を検証しました。
解析の結果、①2015-16年に認知機能が低かった人は2018-19年によりACPを行っていた、②2018-19年にACPを行っていた人は2021-22年にうつ症状がより重くなっていたことが分かりました。
この結果は必ずしも因果関係を示すものではありませんが、高齢者におけるACPの実施において、うつ症状のモニタリングが必要なことを示唆しています。
リンクより本論文の抄録および全文がご覧いただけます。
Bidirectional Associations Between End-of-Life Communication and Depressive Symptoms in Older Adults
https://doi.org/10.1016/j.jpainsymman.2025.11.029
