研究発表・プレスリリース

中西三春准教授らの論文が「BMC Public Health」に掲載されました。

中西三春准教授らの論文が「BMC Public Health」に掲載されました。

家族等の介護を担う若者(ヤングケアラー)は同年代の非介護者と比べ、メンタルヘルスが悪いとされています。ヤングケアラーは少数民族の背景や親の疾患、年収が低いなど社会的不利をもつ世帯の子どもに多いことが分かっていますが、介護役割の引き受けに至る家庭内の力動や心理プロセスは明らかではありませんでした。

東北大学公衆衛生学分野・田淵貴大准教授らの「日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題および社会全般に関する健康格差評価研究(JACSIS)」では、2020年より継続的に、全国の一般住民にインターネット調査を実施しています。本研究はJACSISの2021・2022・2023年の3時点のデータを活用し、若者における家族介護とソーシャルネットワーク・心理的苦痛との前後関係を調べました。25歳以下と26-59歳の2つの集団でそれぞれモデルを構築して解析しました。

解析の結果、若者集団ではソーシャルネットワークの高さ・心理的苦痛の高さが1年後の家族介護の発生と関連していました。成人集団ではこの関係はみられず、逆に家族介護が1年後の心理的苦痛の高さと関連を示しました。

本研究の結果から、学校や福祉の領域において、ヤングケアラーは孤立しているという先入観はかえって見落としのリスクにつながる可能性が示唆されました。子ども集団に対する理的苦痛のスクリーニングとフォローアップ体制を構築することが、ケアラーになる可能性が高い子どもに対しても有益であると考えられました。

リンクより本論文の抄録および全文がご覧いただけます。
Longitudinal associations between informal caring, social network, and psychological distress among adolescents and young adults: modelling within-person effects
https://doi.org/10.1186/s12889-025-21514-z